令和6年の司法書士試験問題をchatGPTに解かせてみた・・・とりあえず16問だけ

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はてさて、どうなることやら。

法務省:令和6年度司法書士試験問題

午前の部

問題1 表現の自由について

まずは自分で解いてみる・・・正解

ア ? 事前差し止めまでいいのかどうか・・・

イ ○ 戸別訪問は汚職の温床になるからダメだったはず。その通り。

ウ × 手段・方法に関わらず、ってのがおかしい。

エ ○ ビラで侵入はダメなはず。その通り。

オ ○ その通り。理由なく制限はだめ。

で、間違いはアとウ、と思ったら、そんな選択肢はなく・・・

ウは間違いとして、あとイかエが間違いなんだよな。

と、ここまでで、ハッと、ケアレスミスに気がづく。

そう。戸別訪問がだめ、なので、ダメなものを禁止するのは違反しない、だから×なんだ。

で、答えは3。実際に答えは3で正解。

chatGPTはミス!

ChatGPTは、答えがそれっぽすぎて、受験生の私がみるのはかなり危険と判断。最終的な答は、4となった。

間違いその1はオの「法廷でのメモ取り」

選択肢オ

【判例】「法廷メモ事件」(最大判平成元年3月8日)

誤った記述
判例は、法廷でのメモ取りを全面的に保障しておらず、法廷の秩序維持のためにメモを制限することは許されるとした。
→ よって、「理由なく制限することはできない」という表現は誤り

chatGPTの間違った判断

判例の解釈は合っている。つまり、基本メモはOKだけど、あまりにひどい、法廷の秩序を維持できないようなメモ(多分ないけど)は例外的に制限できるということ。

つまり、理由があれば制限できるということ。

逆にいうと、理由なく制限はできないということ。

なのに、chatGPTは間違いと言ってしまった。

多分、文章が二重否定の時は、誤解しやすいのではないだろうか??

全ての場合で制限できない、という意味に誤解したのでは?

「理由なく制限することはできない」→「どんな理由があろうと『制限することはできない』」

と勘違いしたのでは?実際は、

「理由なく制限することはできない」→「『どんな理由があろうと制限する』ことはできない」

なのに。お〜日本語は面白い。

もう1つのミスは、選択肢ウの「西山事件」

選択肢ウ

【判例】「西山事件」(最大判昭和53年5月31日)
正しい記述
国家公務員法違反で有罪となった記者の行為(秘密漏示の教唆)は、報道の自由の範囲を超えており、表現の自由の保障に反しないとされた。

chatGPTのミス

そりゃあ西山事件の時は処罰の対象になったかもだけど、「その手段・方法にかかわらず」ってところをchatGPTは見落としているんだよね。

判決でも、「その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものであれば、正当な業務行為というべき」とあるんだし。

問題2 学問の自由及び教育の自由

まずは自分で解いてみた。

ア 高校は指導要領があるからX

イ ○ 合ってそう

ウ ?

エ X 検定通らない歴史の本、本屋さんで売ってるし。

オ X 京大の話かな。

で、正しいのはイとウかな?正解は3と判断し、これで正しかった。

ChatGPTも同意見でした!

問題3 裁判所の組織と権能

まずは自分で解いてみる・・・正解

ア ○ あってる。

イ X あと2つあったはず。

ウ X そういう例外もあったような。

エ ○ あってる。

オ ○ あってる。

ときて、あってるのが3つもあり、まずった・・・

2アエか、5エオなんだよな。5かな。なんかアはもっと偉い人だったはず。。。

で、正解は、5。合ってました。

最高裁判所にも、長官と判事がいて、長官だったら合ってるけど判事だったら違うのでアは間違い。

いっつも忘れがちなんだよな。

指名任命認証
最高裁判所
長官
内閣天皇
最高裁判所
判事
内閣天皇
下級裁判所
裁判官
最高裁判所内閣天皇

chatGPTはミス!

間違いの1つ目は選択肢イ。

選択肢イ

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、罷免されない。

正しい
→ 憲法第78条:「裁判官は、心身の故障のために職務を執ることができないと裁判によって決定された場合を除いては、罷免されない。」そのままの文言です。
→ 判例もこの趣旨を確認しており、正しい。

ChatGPTのミス

実際の憲法第78条をみてみましょう。

第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

憲法

「公の弾劾によらなければ」を見落としておるぞ、chatGPT君!

さらに、最高裁判所裁判官は国民審査という形で首になるからね!

2つ目のミスは選択肢ウ。

選択肢ウ

行政機関が裁判所の前審として裁判を行う制度は、特別裁判所の設置を禁止する憲法に違反する。

正しい
→ 憲法第76条2項:「特別裁判所は、これを設置することができない。」
→ 「前審制」の名のもとに行政機関が実質的に裁判を行うことは、特別裁判所の設置に類似するため、違憲とされる(※判例:行政裁判の独立性に関する議論)。
よってこの記述も正しい。

ChatGPTのミス

確かに原則としては特別裁判所はダメだけど、例外的に弾劾裁判所があるからねぇ。

問題4 未成年について

まずは自分で解いてみる・・・ミス!

ア ○

イ × 未成年には対抗できないでしょう。

ウ × 負担つきはダメでしょ。

エ ○ 認知は大丈夫

オ ?

間違い2つだから、イウでしょ・・・と思ったら選択しなかった。。。

アイかイオだよな。

イオかな。・・・で結局ミス。

正解は5のウオ。

chatGPTは正解!

正解だったら、chatGPTの解説を参考にしてみようか。

まず僕のミスった選択肢イ。

選択肢イ

未成年者に対して意思表示をした者は、未成年者の法定代理人がその意思表示を知った後は、その意思表示をもって未成年者に対抗することができる。

正しい
→ 民法第98条2項:「意思表示は、制限行為能力者に対してしたときは、その法定代理人がこれを知った時から、その者に対して効力を生ずる。」
→ よって、法定代理人が知った時点で、相手方は意思表示を未成年者に対抗できる。正しい記述です。

chatGPTの正しい解説

正確には「民法第98条の2」ですね。改正されたところです。

第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
一 相手方の法定代理人
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方

民法98条の2

法定代理人に対してだけでなく、未成年者本人に対して対抗できるようになるんですね。

というか、chatGPTの民法の引用が条文番号も本文も微妙に意訳というかおかしいんだよなぁ。

問題5 条件

まずは解いてみよう。

ア × 無効でしょ

イ ○その通り

ウ ○その通り

エ ×ダメ

オ × 不法は無効

これは簡単。3番のイウが正解でしょ。で、実際に正解でした!

ChatGPTはというと、合ってました。簡単だね。

問題6 時効

まずは解いてみよう。

ア × 時効取得できるでしょ。

イ × 請求からじゃなくて、契約からだったような。

ウ × 後順位はダメでしょ。

エ ○ なんか+1日ってあったような。

オ ○。じゃないと保証人が可哀想。

正しいのは5エオ。これで正解。ChatGPTも正解。簡単だね。

問題7 占有に関する対話問題

まずは自分で解いてみる・・・ミス!

まずは○×解いてみよう。

ア ○かな

イ ○かな

ウ ×かな。

エ ×でしょ。裁判から悪意のはず。

オ ×でしょ。

正しいものは1アイで、・・・間違った!

正解は4ウオでした。。。

chatGPTもミス!

共倒れになってしまいました。。。

正解は4ウオ、なのにchatGPTは僕と同じ1。

chatGPT正解
×
×
××
×××
×

やばいな。私とchatGPTともに正解したのは選択肢エが間違いと見破ることだけ。あとはボロボロだ。

まずは選択肢ア。なんか、1つだけ推定されなかったような気がしてたんだけどなぁ。

選択肢ア

占有者は、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定されますが、占有者が善意であることは推定されません。

正しい
→ 民法186条1項:「占有者は、所有の意思をもって、平穏にかつ公然に占有をするものと推定する。」
→ ただし、「善意であること」は推定されない(これについては判例:最判昭和39年5月15日)
→ よって、この記述は正しい。

chatGPTのミス

実際に民法186条をみてみましょう。

第186条

  1. 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
  2. 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
民法186条

善意無過失のうち、「善意」は推定されるけど、「無過失」までは推定されないってやつか。

chatGPTもミスってるなぁ。というか、条文を一部「善意」飛ばして引用するあたりが、怖い・・・

ChatGPTの引用する判例はよう知らんけど、「無過失」までは推定されないという話は、取得時効の絡みで勉強したな。

最判昭46.11.11だね。善意までは186条で推定されるけど、無過失だけは推定されないから、時効取得したい人が立証しないとダメという話。

次は選択肢イ。

僕もchatGPTも間違ったけど、間違ったなりのchatGPTの言い分を聞いてみよう。

悪意の占有者は、収取を怠った果実の代価を償還する義務を負いません。

正しい
→ 民法189条2項:「悪意の占有者は、果実を返還しなければならない。ただし、収取しなかった果実の代価については、返還の義務を負わない。」
→ つまり、怠ったことへの償還義務はなし。正しい。

間違ったchatGPTの言い分

いつも引用間違えるから、ちゃんと民法みてみようか。

第189条

  1. 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
  2. 善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。
民法189条

民法189条2項は選択肢エの方でしょう!ChatGPT君、ちゃんとして!

そうそう、民法189条の1項のつもりでいたんだけど。。。

どうも、検索してみると、民法190条に答えがありそう。

第190条

  1. 悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
  2. 前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。
民法190条

こりゃダメだ。おっしゃる通り、選択肢イは間違いでした。

悪意だったら、返すだけでなく、弁償も入ってくるんだね。

次は選択肢ウか。

選択肢ウ

所有の意思のない善意の占有者は、損害の全部の賠償をする義務を負います。

誤り
→ 民法191条:
「占有者が善意であるときは、その物の損傷または滅失について、自己の利益の存する限度においてのみ賠償の責任を負う。」
→ つまり、全部ではなく、利益のある範囲で賠償義務。よって誤り。

chatGPTの間違った解説

民法191条の引用の仕方が怪しい。。。

第191条 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。

民法191条

但し書きのところが抜けてたんだね。「所有の意思のない占有者」ってとこがミソか。

最後に選択肢オ。

ChatGPT先生は正しい答えを言っているようだから、解説をみてみようか。

選択肢オ

被相続人の占有を併せて主張する場合には、相続人が占有を始めた時に悪意であっても、善意と判定されます。

正しい
→ 判例(最判昭和36年4月11日):
相続人が被相続人の占有を併せて時効取得を主張する場合、占有者の主観(善意・悪意)は被相続人のものを基準に判定される
→ よって、相続人が悪意であっても、被相続人が善意なら、善意と評価される。正しい。

ChatGPTの正しい解説

判決は知らんけど、そっか、僕のケアレスミスだった。

問題8 相隣関係

まずは○×解いてみよう。

ア ×?

イ ○?

ウ ×逆でしょ

エ ?

オ ○そりゃそうだ

1アウ、あるいは、3イウかな。

多分1かな。

で、正解は、4イエで撃沈。。。

ChatGPTは?3イウで同じく撃沈。

chatGPT正解
×
××
××
?×

まずは選択肢アか。

正しかったChatGPT先生のお言葉を聞くとするか。

選択肢ア

堀の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、当該土地の所有者の承諾を得なければ、当該堀の幅員を変更してはならない。

正しい
→ 民法225条:
「堀の所有者は、その対岸の土地が他人の所有に属する場合においては、その者の承諾がなければ堀の幅員を変更してはならない。」
→ 条文どおりの内容なので正しい。

ChatGPTの解説(条文合ってんの?)

第225条

  1. 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
  2. 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2メートルのものでなければならない。
民法225条

なんかChatGPT、条文の引用がおかしいぞ。

おそらくこっちの民法かな。

第219条

  1. 溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。
  2. 両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は、水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない。
  3. 前二項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
民法219条

次は選択肢イ。

これもChatGPT先生は正しいので(解説が正しいかどうかは置いといて)、解説を聞いてみようか。

選択肢イ

土地の所有者は、その所有地の水を通過させるに当たり、低地の所有者の承諾を得なければ、当該低地の所有者が設けた工作物を使用することはできない。

誤り
→ 民法218条:
「土地の所有者は、自己の土地の水を自然に低地に排出する場合に、その排水のために低地に設けられた排水施設を使用することができる。」
→ 承諾を得る必要があるとは書かれておらず、使用可能
→ よってこの記述は誤り。

ChatGPTの解説(合ってるかなぁ)

条文が違うんだよな。答えは合ってるけど。

第221条

  1. 土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる。
  2. 前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない
民法221条

承諾なくても使えるんだね。

選択肢ウはChatGPTもミスってるけど、一応その言い訳を聞いてみようか。

選択肢ウ

水流地の所有者は、他人が所有する対岸の土地に付着させて堰を設けたときは、これによって生じた損害に対して償金支払わなければならない。

誤り
→ 民法228条2項:
「水流地の所有者が、堰を設けるに当たり、他人の所有地に付着させたときは、その所有者はこれを除去させることができる。」
→ つまり、許可なく他人地に構造物を付着させた場合、償金を払えばよいという制度ではなく、撤去請求される
→ よってこの記述は誤り。

間違ったChatGPTの出鱈目言い訳解説

そもそも民法の条文が違う。。。

第222条

  1. 水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
  2. 対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、前項の堰を使用することができる。
  3. 前条第2項の規定は、前項の場合について準用する。
民法222条

なんかChatGPTの出鱈目条文は番号も文章も違うんだな。怖いわ。

選択肢エはどうだろうか。

ChatGPTはミスったけど、その言い訳解説は?

選択肢エ

土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければ電気の供給を受けることができない場合であっても、当該他の土地の所有者の承諾を得なければ、当該設備を設置することはできない。

正しい
→ 民法213条:
「自己の土地に電気・ガスなどを供給するために、やむを得ず他人の土地を使用する場合であっても、所有者の承諾が必要。調停や裁判を経る必要がある」
→ よってこの記述は正しい。

ChatGPTの出鱈目解説

まず民法213条が出鱈目だね。

第213条

  1. 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
  2. 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
民法213条

正しいのはこれかな?

第213条の2

  1. 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第1項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
  2. 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」 という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
  3. 第1項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
  4. 第1項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第209条第1項ただし書及び第2項から第4項までの規定を準用する。
  5. 第1項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第209条第4項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、1年ごとにその償金を支払うことができる。
  6. 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
  7. 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
民法213条の2

総じて、僕にはマイナーな知識に思えたんだけど、これを足りない常識だけで正解するにはどんな道筋があったのだろうか?

選択肢オは絶対に○で、常識だから、これを前提に選択肢を絞るとすると・・・

1 アウ 、3 イウ 、4 イエ

これから考えると、まぁ選択肢エは、×にしないと、電気が絶対に使えない人ができてしまうからな。

そこがポイントか。すると、答えは4と決まるな。

実は常識で解ける問題でした。。。

 

問題9 共有物の分割

まずは自分で解いてみる・・・ミス!

ア ○ そんな特約できたはず。

イ ○ できそう

ウ × そこらへん自由だったような・・・

エ ○?

オ × 無理でしょう

ウオが×って、いきなり選択肢がない!

2 アウ 3 イオ 4 ウエ 5 エオ

このうちどれかだな。5かな・・・正解は4。敢えなく撃沈。

chatGPTは正解!

選択肢エ

甲土地を所有していたAが死亡し、B及びCがAを相続した場合において、甲土地の分割についてBC間で協議が調わないときは、B又はCは、遺産分割の審判を申し立てずに、共有物分割の訴えを提起することができる。

誤り
→ 相続によって共有状態になった場合、それは**遺産共有(準共有)であり、まずは遺産分割手続(家事審判)**によって処理されるべき。
→ 判例(最判平成8年12月17日)も、「遺産分割によるべきものについて共有物分割訴訟を提起することはできない」としている。
→ よってこの記述は誤り。

ChatGPTの変な解説(判例と言うより・・・)

この解説はちょっとどうかな。

そもそも、裁判による共有物の分割は、民法258条。

第258条

  1. 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
  2. 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。
    1. 共有物の現物を分割する方法
    2. 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
  3. 前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
  4. 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
民法258条

で、引き続く条文に258条の2がある。

第258条の2

  1. 共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。
  2. 共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から10年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。
  3. 相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第1項の規定による請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から2箇月以内に当該裁判所にしなければならない。
民法258条の2

この第1項から、選択肢エは×になります。素直に条文の問題ですね。相続開始後10年なら話は変わるけど。

選択肢オ

A及びBが共有する甲土地について抵当権を有するCは、甲土地の分割に参加することができる。

正しい
→ 判例(最判昭和36年4月14日):
共有物に抵当権を有する者(担保権者)は、共有物分割訴訟において利害関係人として参加できる
→ 債権の回収に影響を与えるおそれがあるため、適法。
→ よって正しい。

ChatGPTの解説(?)

判例というより、条文かな。

第260条

  1. 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
  2. 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。
民法260条

260条第1項で決まり。結局条文通りの問題でした。

問題10 地役権

まずは解いてみよう。

ア ○

イ ×

ウ ○ ダメだね。全員でじゃないと。

エ × 違うんじゃない?だって建物ないんだし。

オ ○

3イエだね、答えは。正解は・・・3!そしてchatGPTも3!

簡単だね。

問題11 留置権

早速解いてみよう。

ア ○

イ ×

ウ ×

エ ×

オ ○

3番イウかなぁ。

あってました!ChatGPTも合ってました!

ただ、僕は選択肢エをxと思ってたので、そこはほんというと間違い。

ChatGPT先生の解説を見てみよう。

選択肢エ

A所有の甲建物について譲渡担保権の設定を受けたBが、当該譲渡担保権の実行として甲建物をCに売却した場合において、CがAに対して甲建物の明渡しを請求したときは、Aは、Bに対する清算金支払請求権を被担保債権として留置権を主張することができる。

正しい
→ 判例(最判平成8年10月29日):
譲渡担保権設定者(A)は、清算金の支払を受けるまでは、目的物を引き渡さないことができる(留置権行使可)
→ 被担保債権と物との関係が認められ、留置権成立が肯定されている。正しい。

ChatGPTの解説(判例は?だけど)

いつの判例かどうかわからないけど、譲渡担保で精算金を払う義務が生じると、その瞬間、自動的に留置権が出るのは常識でした(忘れてました。。。)。

問題12 先取特権

早速解いてみよう。

ア ?○

イ ?× 及んだような。

ウ × 工事は工事前に予算を出すはず

エ × 後の動産保存が優先かな

オ?

1アイかな。正解は2アウでした。撃沈。

ChatGPT先生も2で正解。

選択肢ア

共益の費用のうち全ての債権者に有益でなかったものについては、共益の費用の先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

正しい
→ 共益の費用(民法第311条1号)の先取特権は、費用によって利益を受けた債権者にのみ主張可能
→ 「全ての債権者に有益でなかった」場合には、その分についての先取特権の範囲も制限される。
→ 判例・通説もこの趣旨に沿っており、正しい。

ChatGPT(条文番号怪しい)

正しくは民法307条ね。

(共益費用の先取特権)第307条

  1. 共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
  2. 前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

選択肢イ

建物の賃借権の譲渡が適法にされた場合であっても、建物の賃貸人の先取特権は、賃借権の譲受人がその建物に備え付けた動産には及ばない。

正しい
→ 民法第311条3号の「家賃債権の先取特権」は、原則としてその建物に備え付けられた動産に及ぶが、
賃借権が適法に譲渡された場合、譲受人がその後に据え付けた動産は、もはや賃貸人の債権の担保とは無関係
→ よって、賃貸人の先取特権は及ばない。正しい。

またChatGPTの条文番号おかしい

正しくは312条?

(不動産賃貸の先取特権

第312条 不動産賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。

そうだね。譲渡されたらもう関係ないもんね。

選択肢ウ

不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増加額についてのみ存在する。

正しい
→ 民法第311条5号(不動産の工事)
→ 「不動産の価格の増加が現存する場合に限り」その増加額の範囲で先取特権が認められる。
→ 明文規定どおりで、正しい。

ChatGPT相変わらず条文番号おかしい

正しくはこっちの条文だな。

不動産工事の先取特権

第327条

  1. 不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
  2. 前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

選択肢エ:

同一の動産について動産の保存の先取特権が互いに競合する場合には、前の保存者が後の保存者に優先する。

誤り
→ 民法第326条:「同順位の先取特権が競合する場合は、保存の先取特権が他に優先するが、保存の先取特権同士の競合では、債権額に応じて按分される(=比例配分)」
→ 「先」か「後」かで優先関係は決まらない。よってこの記述は誤り。

やっぱり条文番号おかしいchatGPT

動産の保存の順位はこっちの条文かな。

(動産の先取特権の順位)第330条

  1. 同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
    1. 不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
    2. 動産の保存の先取特権
    3. 動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
  2. 前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
  3. 果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。

僕の記憶が正しかったみたい。

選択肢オ

不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為の前にその費用の予算額を登記しなければならない。

誤り
→ 民法第312条:「不動産の保存の先取特権は、保存行為の後1ヶ月以内にその登記をすれば、第三者に対抗できる。」
→ 「保存行為のに登記しなければならない」というのは誤り
→ 登記のタイミングを誤っており、この記述は誤り。

やっぱり違うChatGPTの条文番号

条文番号も違うし、1ヶ月じゃなくて「直ちに」だろうに。

不動産保存の先取特権の登記)

第337条

不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

問題13 抵当権の効力

早速解いてみよう。

ア × 消滅せず持分につくのでは?

イ × 及ぶでしょ

ウ ○ 合ってる

エ ?

オ ○ できないとおかしい

4か5なんだよな。4かな。正解は・・・4でした。

ChatGPTは・・・5でした。残念だったね、chatGPT君!

で、問題の選択肢エは、ChatGPTはどう答えたのか?

選択肢エ

抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は、他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによっても、優先弁済を受けることができる。

正しい
→ 判例(最判昭和46年3月25日):
抵当権者が自ら差押えしなくても、他の債権者の差押手続に参加して配当要求をすることにより、物上代位の効力を行使することができる。
→ よってこの記述は正しい。

出鱈目ChatGPT解説

民事執行法なんじゃないかな。配当要求権者が誰かという問題。

(配当要求)第51条

  1. 第25条の規定により強制執行を実施することができる債務名義の正本(以下「執行力のある債務名義の正本」という。)を有する債権者、強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者及び登記(仮登記を除く。)がされた一般の先取特権を有する債権者及び第181条第1項第2号に掲げる文書又は電磁的記録により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
  2. 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
民事執行法51条

配当要求できるものは大きく3タイプに分かれるみたいです。

  • 執行力のある債務名義の正本を有する債権者
  • 差押登記後に仮差押えの登記をした仮差押債権者
  • 法廷の文章により一般の先取特権を有することを証明した債権者

ここに物上代位権を行使する債権者は入ってないから×ってことなんでしょうね。

問題14 抵当不動産の第三取得者

早速解いてみましょう。

ア ○

イ × できそうだけど。

ウ × 通知しなくてよかったはず。

エ ○なのでは?でないと、自分が自分に払うことになっちゃう。

オ ×なのでは?借りるんじゃなくて買ってるのに必要費って。。。

3か4になってしまった。

なんかウは×でよかった気がするんで、3にするか。

正解は・・・5って全然違って撃沈。

ChatGPTも間違ってる。

chatGPT正解
××
×
××
××

選択肢アは○で常識でしょう。

選択肢イの「抵当権消滅請求」は民法379条にあるように、第三取得者だけの話。

抵当権消滅請求

第379条

抵当不動産の第三取得者は、第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

で、債務者やら保証人らが、債権者に弁済せずに、ちょっとお安くなっているこの抵当不動産を購入して、「第三取得者」になったら、果たしてどうなるか?という問題。

そんなの図々しくないですか?だから380条でダメと書いてある。

(抵当権消滅請求)

第380条

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

なので選択肢イは○となる。こんな条文通りなのに、chatGPTは間違ってしまった。

選択肢ウも条文通り。

競売の申立ての通知)

第385条

第383条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

僕が勘違いしていたのは、抵当権者が抵当権を実行するときに、第三取得者に「競売するつもりだけど抵当権消滅請求します?」という意味での通知はいらない(昔はいるんだった)、という話だった。

これは、昔通知してたら競売妨害されたんで、通知いらないにしたそうだ。

ここでは、当の第三取得者が消滅請求を抵当権者に申し込んだときに、イヤイヤ競売するというとき、債務者や抵当不動産の譲渡人に通知しなくてはいけない、という話。

ここでも、譲受人(第三取得者)にはきっと言わないんだよな。妨害されるから。

誰に通知するかをちゃんと読めばわかったかも。

ただ、選択肢エとして、条文390条の話もあるんでね。

抵当不動産の第三取得者による買受け)

第390条

抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。

抵当権消滅請求で抵当権者に「さっさとお金欲しいでしょ」と言ったけど、抵当権者が「イヤイヤ競売した方がもっとお金入る」と時間をかけてやると言ったんで、じゃあと「私も買受人になります」と第三取得者が手をあげる。

別に問題ないよな。

選択肢オは、民法391条の話。

(抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求)

第391条

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第196条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。

条文通りだったな。こんなの知らなかったとは・・・。

ChatGPTはあってたけど、なぜか条文を根拠にあげず、怪しげな判例を挙げていた。

この問題で常識となるのは、

選択肢アが○・・・抵当権消滅請求そのもの

選択肢イが×・・・保証人や債務者が第三取得者になって抵当権消滅請求だなんて、図々しい。払えよ。

あとは選択肢オかな。

抵当不動産の必要費があるんだったら、それは競売で得たお金で優先的に償還してあげないと可哀想、と思えるかどうかか。

ま、条文覚えればいいんだけど。

問題15 元本確定前の根抵当権

まずは解いてみますか。

ア ○ できたような・・・

イ ○ そういう話あった。

ウ ○ あってそう

エ × ダメっぽい

オ × できたはず。

1と思ったら3でした。アが実は間違い。

ChatGPTは間違いながらも、最終的な答えは正しかったです。

確定期日という約束があるのに、それを一方的意思表示で破ることはできないということで、不動産登記法の根抵当の元本確定で勉強したことを思い出せば、アが×であることはわかったんでした。。。

問題16 詐害行為取消権

まずは解いてみますか。

ア ○

イ ○

ウ ○

エ ×

オ ○

う〜わけわからん。4かな。ChatGPTは3

正解は1。ともに撃沈。

選択肢アと選択肢ウについてはChatGPTの答えも間違いだし、あまりヒントにならず、うーん、正確な解説を考えるのは面倒。。。

多分、

選択肢エの転得者については条文があります。

(転得者に対する詐害行為取消請求)

第424条の5

債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。

  1. その転得者が受益者から転得した者である場合その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
  2. その転得者が他の転得者から転得した者である場合その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。

民法424条の5、第1項ですね。

CとDともに悪意だけでなくて、BとCともに悪意もあるような気がしてたんだけど、この条文は、Bが悪意でCに詐害行為取消請求できる、という条件のもとで、転得者にできるか?という話。

転得者も悪意じゃないとダメなんだね。かなり基本の問題でした。

「転得者(この場合D)については、詐害性を認識していた者に限り取消可能
→ よって、B→C→Dのそれぞれが害意を知っていた場合に限って、Dに対する取消ができる
→ 正しい。

ChatGPTの解説(間違った条文はあえて載せず)


いやあ疲れました。

結局、よくChatGPTは間違えることがわかりました。

16問中・・・10問正解

午前中問題は、8割解けて合格ラインのところ、まだ途中だけど、6割ちょっと。

まだまだChatGPTくんは司法書士試験合格できそうにないですね。

午前の部では35問中28問程度(7問しか間違えられない)というのに、16問目ですでに6問間違えてますから。

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