「輪島塗」のように、司法書士試験の勉強を塗り重ねていく

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先日、ヤフーニュースで「声優が東大に合格して卒業した」という記事を読んだのですが、その中の一節がとても心に残りました。

「たとえば、勉強したことがない科目の参考書を1ページ目からしっかり覚えようとすると、1日10ページくらいしか進まなくて、忙しくて間が空いてしまうと、次にやろうと思ったときには前に読んだところを忘れているんです。だから、まずは1冊、大急ぎで読み終えるようにしました。そうすると『1冊終えた』という達成感があって、気がラクになるんですよね。もちろん1回では頭に入らないですが、2回目は少し覚えているし、繰り返すほど記憶が定着していきます。全体を薄く塗って、何度も塗り重ねていくようなイメージです。」

なるほど――この「全体を薄く塗って、何度も塗り重ねていく」というイメージ。まさに輪島塗や漆器のように、薄い層を丁寧に積み重ねていく感覚です。

《人気声優が40代後半で東大合格》佐々木望 極秘に通った7年間「五月祭りでは牛串を焼いて」大学生活の舞台裏(CHANTO WEB) - Yahoo!ニュース
声優として『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助や『テニスの王子様』の亜久津仁など、これまで数多くの主要なキャラクターを演じてきた声優の佐々木望さん。声優として活躍中の40代後半のときに、東京大学を受験すること

記述講座が始まって焦る日々

今、私が取り組んでいるのは司法書士試験の勉強です。これまでインプット講座中心で進めていたのですが、並行して「記述解法習得講座 戦略編」が始まり、さらに「精撰答練 頻出論点記述編」まで加わってきました。

要するに、「インプットの理解」+「記述の答案作成」+「答練提出」という三重苦。正直、焦りまくっています。

戦略編の中には「過去問の良問を解いてみよう」という課題があって、恐る恐る挑戦してみたのですが――撃沈。答案用紙を前にして、ほとんど手が動かない。まるで初めて外国語を前にしているような感覚でした。

もちろん講義を聞くと「ああ、なるほど、そういうふうに考えるのか」と理解はできるのですが、決定的に「雛型の知識」が足りない。つまり、土台となる書式のパターンを体に叩き込んでいないので、答案が組み立てられないのです。


雛型集を手に入れたけれど……

そこで私は「ケータイ司法書士」の雛型集を購入しました。これで知識の穴を埋められるはず、と期待して夜に読み始めたのですが……

目を通し始めて驚愕。以前に一度読んだはずの内容が、頭からすっかり抜け落ちている。ページをめくっても「まるで初見?」というくらい記憶が残っていないのです。

しかも寝る前に読むと、もう頭がチカチカして全然入ってこない。目で追っているだけで、意味が頭に浮かばない。翌日、朝になってようやく少しずつ理解できるようになりましたが、とても「4〜5日で1冊仕上げる」なんてペースには追いつけません。

一方で、答練の提出期限は刻一刻と迫ってくる……。このままでは完全に遅れをとる。そんな焦りばかりが募ります。


東大合格者の言葉に勇気をもらう

そんなタイミングで出会ったのが、冒頭のヤフーニュースの言葉でした。

「全体を薄く塗って、何度も塗り重ねていくようなイメージ。」

ああ、まさに自分に必要なのはこれだ、と思いました。

私は「1冊を完璧にしよう」と思うあまり、最初からじっくり覚え込もうとして、結果として遅々として進まず、忘れてしまう。だから達成感もなく、自己嫌悪ばかりが積み重なる。

でも、声優として多忙なスケジュールをこなしながら東大に合格した人も、まずは「速く1冊読み終えること」に重点を置いていた。達成感があれば心が軽くなるし、2回目・3回目で徐々に定着していく。

勉強とは、最初から厚塗りするのではなく、薄く何度も塗り重ねて深みを出していくもの。輪島塗のように。


勉強法を見直してみる

そう考えると、自分の勉強にも方向性が見えてきました。

  1. まずは全体を通読する。
    完璧に覚えようとせず、まず1冊を走り抜ける。理解が浅くてもいい。「全体像をつかむ」ことを優先する。
  2. 達成感を小さく積み上げる。
    「今日は10ページ進んだ」よりも「1冊読み切った」という方が、心に残る。心理的な効果は大きい。
  3. 繰り返して記憶を強化する。
    2回目には少し、3回目にはさらに。忘れることを前提にして、繰り返すサイクルを組む。
  4. 雛型は“写経”のように覚える。
    記述の答案はパターンの暗記が重要。まずは雛型集を繰り返し目にし、徐々に書けるようにする。

勉強は輪島塗のように

司法書士試験の勉強は、分厚いテキストと膨大な知識に押しつぶされそうになります。特に記述の答案練習は、インプットとは違う「実戦力」が求められるので、不安と焦りが大きい。

でも、ニュース記事の「塗り重ね」のイメージを聞いて、少し肩の力が抜けました。

一度で完璧に仕上げなくていい。むしろ何度も繰り返していくことで、少しずつ深みが出る。そう思えば、「今は下塗りの段階なんだ」と気持ちを切り替えられる。

輪島塗は、何度も漆を塗り重ねてようやく美しい艶が出るもの。私の勉強も、そうやって何度も重ねていけばいい。


おわりに

答練の提出期限は迫っています。でも、ただ焦るよりも、まずは「1冊を読み終える」達成感を味わい、そこから何度も塗り重ねていくことを心がけたいと思います。

焦って空回りするのではなく、一歩一歩。漆器のように深みを出すために。

司法書士試験までの道のりは長いけれど、少しずつ積み重ねれば必ず形になる。そう信じて、今日も机に向かいます。

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