最近すごいニュースがありました。
なんとOpenAIが「gpt-oss」というモデルを公開したんです。
これまではChatGPTとかGPT-4を使おうと思ったら、毎月のサブスクを払うか、APIを契約してお金を出さなきゃいけなかった。しかも入力するデータは基本的にクラウドに送られるから、契約書とか定款みたいな「超・秘密情報」を気軽に食わせるのはためらわれました。
でも今回のgpt-ossは違います。
オープンな形(正確には「オープンウェイト」)で公開されていて、自分のPCにダウンロードして無料で動かせるんです。
「お金がかからない」うえに「データが外に出ない」。
これ、司法書士や法律系の仕事をしている人にとってはめちゃくちゃ大きな話なんじゃないかと思います。
1. gpt-ossってどんなもの?
gpt-ossは、OpenAIが出した新しいシリーズのモデルで、現時点では「120b」と「20b」の2種類があります。
- gpt-oss-120b:性能はかなり高め。GPT-4の軽量版(o4-mini)と同じくらいの力があるらしい。動かすには大きめのGPUが必要だけど、ローカルで動くのはすごい。
- gpt-oss-20b:もっと軽量。ちょっと性能は落ちるけど、16GBくらいのメモリでも動かせる。手持ちのパソコンでも試せる人が多そう。
つまり「ガチで性能重視」なら120b、「とりあえず触ってみたい」なら20b、と選べる感じ。
しかも長文処理も得意で、10万字単位のテキストを扱える。契約書とか定款って長い文章が多いから、これはありがたい機能です。
2. 司法書士にとって何がうれしい?
じゃあ、司法書士にどう役立つのか?
思いつくところを挙げてみます。
秘密保持が安心
まずはコレ。
司法書士は登記申請書類、契約書、定款、相続関係説明図など、とにかく「個人情報」「企業秘密」にあふれた書類を扱います。
クラウドのGPTに投げるのはやっぱり心配。でもgpt-ossをローカルで動かせば、情報は外に出ません。オフラインでAIをフル活用できるわけです。
お金がかからない
毎月何千円も払わなくてもいい。事務所のコストは少しでも抑えたいので、これは正直うれしい。
特に独立したての司法書士さんや、これから開業しようという人にとっては、「無料でまあまあのAIを常備できる」というのは心強いはずです。
契約書・定款チェックに強い
司法書士業務でよくあるのが、「契約書の表現が適切か」「定款におかしな条文が混ざってないか」といった確認作業。
これをAIに一緒に見てもらえるのは便利です。例えば、
- 「この定款、会社法に反する部分がないか指摘して」
- 「この契約書にリスクが隠れてないか確認して」
なんていう相談が、外部漏洩の心配なくできるわけです。
もちろん、最終判断は司法書士本人がする必要がありますが、「第2の目」としてAIを活用できるのは大きな安心材料です。
3. 実際にどんなふうに使える?
たとえば、私ならこんな使い方を考えます。
- 定款レビュー:「株式譲渡制限の条文が正しいか」「公告方法に不備はないか」などをAIに下読みさせる。
- 契約書チェック:「競業避止義務の条項が偏ってないか」「解除条件が一方的すぎないか」をざっくり確認。
- 文章校正:登記申請書の添付書類や説明文を、わかりやすく直してもらう。
- 勉強用:司法書士試験の条文学習に、「この条文を簡単に説明して」とか「具体例を挙げて」と質問。
いわば「事務所にいる新人アシスタントAI」。無料だし、秘密を守れるし、24時間働いてくれる。これは強力な相棒になります。
4. もちろん課題もある
ただし、夢のような話ばかりではありません。
- 完全なオープンソースじゃない
gpt-ossは「オープンウェイト」であって、学習方法やコードは非公開。だから完全に自由というわけではありません。 - 性能の限界
GPT-4に比べれば精度は劣ります。専門的なリーガルチェックを任せきりにはできない。あくまで「補助ツール」という立ち位置です。 - 安全管理は自己責任
ダウンロードしたらこっちの管理次第。もし誤って改変されたモデルを使えば、逆に危険なこともありえます。
とはいえ、使い方を工夫すれば十分に役立ちます。
5. まとめ ― リーガルテックの新しい風
これまで「AIを法律実務に使う」といっても、
- コストがかかる
- 秘密保持が心配
- 中小規模の事務所には導入が難しい
こんな壁がありました。
でもgpt-ossの登場で、
- 無料で
- ローカルで
- ほどよい精度のLLMを
誰でも試せるようになった。
これは司法書士業界にとっても大きな転機だと思います。
契約書や定款の確認をちょっと手伝わせる。条文を簡単に要約させる。そんな「ちょい使い」が気軽にできる環境が整ったんです。
リーガルテックの未来は、もう「大企業専用」ではなくなりつつあります。司法書士一人ひとりがAIを手元に置いて、日常業務を少しラクにする。そんな世界がすぐそこまで来ている気がします。
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